羽坂重三郎
(はさかじゅうざ)
いつも裸で働くところから、誰言う事もなく「裸重三」と呼ばれた羽坂重三郎は、小豆を積み重ねたほどの石垣づくりのの名人であった。
ある日生駒親正が「この石垣を越えることが出来るのは、空を飛ぶ鳥だけであろう」と誇らしげに話したところ、重三郎は「私ならば一尺に鉄棒があれば簡単に登って見せます」と言い、まるで猿のように身軽に石垣を登って、見る間に地上に降り立った。
驚いた親正が敵方に通じるのを恐れて「このような者を生かしておいてはならぬ」と謀殺してしまったと言う。